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ザイのNISA記事を斬る!配当利回りは数字のマジック

      2014/10/10

注意

「ダイヤモンド・ザイ」というマネー雑誌があります。株式や投信、FXなど資産運用全般にかんする記事の多い初心者向けの雑誌で、ネットマネーや日経マネーなどほかのマネー雑誌よりも親しみやすい内容で人気があります。

ぼくも昔はよく読んでいました。株式投資をはじめた2004年に、四季報と一緒にはじめて買った投資関係の雑誌です。一時は定期購読していたこともありましたが、いまは書店で見かけたときにパラパラとめくる程度でほとんど読まなくなりました。

いまだに人気は高いようですが、ここ数年はお金の総合サイトと称して「ザイ・オンライン」の運営にチカラをいれているようです。

そのザイ・オンラインのNISA関連の記事でとても気になるものがありましたので、引用しながらぼくの意見を述べたいと思います。

こういうマネー情報のサイトで「あおり記事」「あおり表現」があるのは仕方ないことなのかもしれませんが、初心者も閲覧する情報サイトでありながらすこし目にあまる表現があったので、恐縮ですが突っこみます。

「年内に使わないとゼッタイ損!」というタイトル

まず目にはいったのが「入金した資金は年内に使わないとゼッタイ損!今NISAで狙う5万円以下の高配当株とは?」という記事のタイトルです。

情報があふれている昨今の事情を考えると、タイトルを工夫しないと読まれすらしないというのはわかります。しかし投資情報にかんすることで「絶対」「100%」などの表現をつかうべきではありません。

また、対象とする読者のしぼりかたがあいまいなのに、年内につかわないと損をするというのはやや断定的です。

もともと資金に余裕があり、年間100万円というNISAの非課税枠が運用資金の一部というのならばその表現は適切かもしれませんが、入金した資金があまり多くなく、その中でいかに有効につかおうかと考えている投資家には不適切です。

投資家によっては相場のムードや為替の状況、自身の投資スタイルやスタンスにあわせて資金を待機させている場合もあります。

個人投資家はプロのように成績をもとめられないので、「ポジポジ病」の人のようにつねにポジションをもっている必要はありません。ときには現金比率を高めることも重要な戦略のひとつです。

利回りの計算期間がトツゼンかわる

記事では5万円以下で買える高配当利回りの銘柄を紹介しています。その紹介の仕方がすこし強引だと思います。

5銘柄は利回りが3.5%以上で、中には4%超の銘柄もある。この高利回りとNISA口座のメリットを合わせると、利回り16%超が狙えるのだ。
出典 : 入金した資金は年内に使わないとゼッタイ損!今NISAで狙う5万円以下の高配当株とは?|NISA口座の比較&活用術|ザイ・オンライン

1年間で配当利回りが4%なら、たしかに4年間もっていれば合計で16%になります。しかし、基本的には利回りというのは単年度で計算するもの。

保有期間合計で算出することもありますが、その直前に年間利回り4%と紹介しておきながら、すぐあとに「合計16%」とする紹介の仕方は、数字のマジックをねらった強引な流れに感じてしまいます。

数字を大きくしてお得感をだしたいのはわかりますが、同じ記事の中で、ましてや段落もかわらないうちに年間利回りとその4倍の期間の合計の利回りをならべるのは良いことではありません。

投資初心者の人は数字の大きい「16%」にどうしても目がいってしまうと思います。実際に想定する利益以上に過大にとらえてしまう可能性も、もしかしたらあるかもしれません。

リスクは過小評価して利益を過大評価している

この記事のいちばんの問題は、リスクについてほとんど述べずに、利益をアピールしすぎている点です。

しかも、高配当株は長期保有に向いている。なぜなら、株価が下落するとさらに利回りが高くなるので、買いが入りやすく、下値不安が小さく値動きが安定しているのだ。

(中略)業績が上向けば、配当も増加するので、利回り20%超だって十分あり得るのだ。

高配当株が長期保有に向いているわけではありません。財務の健全性が高く、利益も毎年安定的に見こめる業界やビジネスモデルであればそういって良いかもしれませんが、いまのご時世でそんな銘柄はあまりないでしょう。

仮にそういう銘柄があったとしても、高配当利回りとよべる株価水準になるケースは少ないはずです。なぜなら、そんな優良銘柄があれば買われて株価が上がり、結果的に配当利回りが下がるからです。

「株価が下落するとさらに利回りが高くなる」という部分については、下落の理由が相場全体の下げにつられているというのならばそれは正しいですが、業績不安などの銘柄の個別要因で下げているならば、株価下落と減配というダブルパンチもありえます。

「利回り20%超だって十分あり得るのだ」としていますが、反対に株価が下落して利回りが合計10%以下になることも考えられるわけです。

上記引用部分にかんしては、あまりにも楽観的な内容に終始していて、リスクを過小評価した文章になっているのではないかと思います。

配当金ねらいなら受取方法の確認も忘れずに

初心者に誤解をあたえるような内容の記事もあります。ウェブにかぎらず書籍などについても、その情報は正しいのか、著者のねらいは何なのかをあわせて考えるクセをつけることが大事かもしれません。

ところで、上記のザイの記事には書かれていませんが、NISA口座で買った株の配当金を非課税で受け取りたいときには注意点があります。9月末決算には間に合わない可能性がありますが、今後のために下記の記事を参考にしてください。

配当金が非課税にならない!?NISA口座の落とし穴

 -NISA

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