WOWOW(4839)が投資対象として魅力的なのか調査した
一昨日、WOWOWのプログラムガイド11月号をもとにオススメ番組を紹介しました。そのあと、ふと疑問がわきました。「WOWOWって、投資対象としては魅力的なのかな?」と。
いままでは視聴者、いちユーザーとしてしかWOWOWとは接してきませんでしたが、「WOWOW(4839)」は東証1部上場企業です。長いこと加入していながら、そのことはすっかり忘れていました。
投資のひとつのカタチとして、自分が魅力を感じるサービスを提供している企業を応援するというものがあります。実際、映画好きのぼくとしては、WOWOWを応援したい気持ちが少なからずあります。
しかし投資対象として考えるには、好きだから応援したい、というだけではすこし弱いです。残念ながら、そこまで純粋になれるほどお金に余裕がありません。
というわけでWOWOWが現在どのような状態なのかを調べました。ほぼコーポレートサイトにある情報ですが、事業内容、直近の決算情報などについてまとめましたので、同じように興味のある方は参考にしてください。
事業内容
WOWOWの事業は「放送」「テレマーケティング」の2つです。放送セグメントでは、単独課金のチャンネルとして国内No.1の実績があり、2014年9月末時点でおよそ276万件の加入件数をほこります。
設立は1984年。2000年にBSデジタル放送を、2011年にフルハイビジョン・3チャンネル放送を開始しました。
放送
放送衛星(BS)による有料テレビ放送がメイン事業です。具体的には、国内外から調達したドラマ、音楽、スポーツ、映画のほか、WOWOW自身が制作したオリジナルドラマやドキュメンタリーを放送しています。
放送を見るためにはWOWOWに加入する必要があり、加入者から毎月得る視聴料がWOWOWの利益の源泉です。チャンネルは以下の3つがあります。
- WOWOWプライム : いろいろなジャンルから厳選された訴求力のあるコンテンツ
- WOWOWライブ : サッカーなどのスポーツ、音楽のコンサートなど
- WOWOWシネマ : 年間1,500本の洋画・邦画・名画
ちなみにそれぞれにキャッチコピーがあります。プライムは「出会いにあふれた毎日を。」ライブは「忘れられない瞬間を。」シネマは「映画のある人生を。」です。
放送事業のほかに、イベントの実施や請負、自社制作したコンテンツの2次利用(DVDなど)、劇場用映画レーベル「WOWOW FILMS」による映画製作などもおこなっています。
「WOWOW FILMS」では、2007年公開の第一弾「犯人に告ぐ」から、第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された「2つ目の窓」まで、12作品が製作・公開されました。
「WOWOW FILMS」作品は、劇場公開前に加入者向けにプレミア放送がおこなわれることがあります。
テレマーケティング
連結子会社の「WOWOWコミュニケーションズ」で、サービス内容に関する問合せや加入申込みなどに対応するカスタマーセンターを運営しています。またコールセンター運営支援などもおこなっているようです。
参考 : WOWOWコミュニケーションズ
直近の業績
10月30日に発表された2015年3月期の第2四半期決算によれば、売上高およそ353億円(前年同期比1.1%増)、営業利益およそ55億円(同11.4%増)、経常利益およそ58億円(同14.5%増)、純利益およそ37億円(同19.4%増)です。
好業績の背景
売上高の増加には「累計正味加入件数」(つまり加入者)の増加により「放送」セグメントの収入が伸びたことが大きく寄与したようです。またジャンルごとに効率的な費用投下がおこなわれ「番組費」が減少したとのこと。
決算説明会資料を読むと、実際に「番組費」の寄与度がもっとも高く、つぎに「視聴料収入」、そして「減価償却費」とつづきます。
参考 : 平成27年3月期(2014年度)第2四半期決算説明会資料
番組費は2012年3月期からどんどん下がってきており、売上高に対する割合は2012年3月期が37.0%、2014年3月期が34.2%、そして2015年3月期中間が31.7%です。
2014年3月期は中間33.7%から通期34.2%へと悪化しており、それが季節要因である場合は今期も通期決算にかけて悪化するおそれはありますが、それを考慮しても順調に経費を削っていることが見てとれます。
ほかに「為替差損益」も約1億5000万円のプラス要因となっています。為替がらみの利益があったこと、そしてどうやら経費が大幅に削減されたことが経常利益増加の要因のようです。
加入件数の推移
WOWOWプライムではオリジナルドラマ「連続ドラマW」、WOWOWライブでは氷室恭介のソロデビュー25周年ツアーと錦織圭選手が決勝に進出した全米オープン、WOWOWシネマでは三谷幸喜作品が加入獲得をけん引したとのこと。
特に9月に独占生中継で放送された全米オープンの影響はとても大きく、新規加入件数は単月過去最高値を更新。その影響で「累計正味加入件数」も開局以来過去最高の数字を記録しました。
加入件数の年度推移は以下のページで確認できます。
参考 : 加入件数の推移 | WOWOWオンライン
ちなみに過去5年間(2009年4月から2014年3月まで)の月ごとの平均加入件数は以下のとおり。9月の平均値は1,496件、最高の12月でも58,249件なので、2014年9月がいかにスゴかったのかがわかります。
過去5年間の月平均加入件数
過去5年間の月平均増加率(%)
12月にもっとも増加して、その翌月の1月にもっとも減少するという傾向があります。2月も減少の流れが続くようです。3月・4月も規模は違うものの、年末年始と同じように増減します。
季節がら年末年始の需要が強く、春の引越しの時期には解約が増えるということでしょうか。
株主優待の情報
WOWOW(4839)は株主優待を実施しています。毎年9月30日現在の100株以上保有の株主を対象におこなわれるもので、以下の2つのうち、いずれかを選べます。
- WOWOW視聴料 3ヶ月分無料
- WOWOW特製 QUOカード2,000円分
視聴優待については、2年以上継続して保有している場合さらに1ヶ月分無料になります。月間視聴料は2,484円(税込)なので、合計4ヶ月分だと9,936円(税込)。1年間でおよそ1万円の節約です。加入者にとってはかなりお得ですね。
ただ、10月に送られる「株主優待申込書」での申込手続きが必要なので、注意が必要です。また対象になる契約は1件のみです。200株以上保有しても、複数契約している場合はそのうち1件にしか適用されませんので気をつけましょう。
ちなみに期末配当60円を加味した「配当優待利回り」は、11月4日の終値4,815円で計算すると、最高で3.31%(税引前)です。
2年以上保有している株主が視聴優待を利用した場合の数字なので、QUOカードを選んだ場合はもっと低いです。高利回り銘柄にくらべると、あまり高い数値とは言えません。
WOWOWは投資対象として魅力的なのか
今回は2015年3月期の第2四半期決算の内容をもとに、現状を調べました。業績予想の修正をおこなっており進捗は良いようですが、実際の通期決算の数字を見ないとなんとも言えない部分もあります。
9月に錦織選手の出場した全米オープン効果で跳ね上がった加入件数を今後も維持できるのか、継続的に経費を抑えていくことができるのか、加入件数を大きく減らすリスクはあるのかなど、定性的な面での考察が必要です。
また定量的な面でも、「PER」「PBR」「ROE」「ROA」「株主資本比率」「営業利益率」「総資本回転率」「有利子負債比率」「流動比率」「当座比率」「売上債権回転率」などを複数年にわたって分析するべきです。
もちろん、保有する現金残高やキャッシュフローについても確認します。
今年はすでに優待の基準日も過ぎてしまったので、通期決算がでたあとにもう一度考えてみようと思います。とりあえず、年末年始の映画のラインナップに期待しています。
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