野村證券のネット事業と投資信託ラインナップ
日本でもっとも有名かつ実力のある証券会社といえば野村證券です。個人的に対面証券は今後、どんどんネット証券にパイを食われていくのではないかと思うのですが、それに関してはとうぜん対面証券側も危機感をもっています。
ネット部門をつくったりそのサービスを拡充したり、相続や贈与などのサービスを充実させて家族ぐるみで長く自社サービスを使ってもらおうとしたりと、対策に余念がありません。
野村證券では「野村ファンドネット証券」「ジョインベスト証券」などのネット証券事業をことごとく失敗してきたという経緯があります。
参考 : 野村のネット証券事業失敗は忘れない
ジョインベスト証券は野村證券と統合されたあとに「野村ジョイ」というサービスとなり、さらに「ほっとダイレクト」と統合されて現在は「野村ネット&コール」となっています。
もういろいろなサービス名がでてきてわからなくなるくらい、ころころとサービス変更をおこなっています。そのたびに取扱商品やサービス内容がかわり、被害をうけた投資家は少なくないでしょう。
野村證券のネット部門
そんな野村證券がいまおこなっているネット事業は「野村ホームトレード」と「野村ネット&コール」の2つです。
ホームトレードは本支店の口座におけるインターネットサービスという補助的な役割のものであり、野村ネット&コールは本支店とはまったく別のネット事業です。
しかし、ネット&コールも純粋なネット専門サービスというわけではなく、コールセンターが設置されており、操作方法の説明を受けたり、投信の相談をしたりすることができます。
ホームトレードはあくまで本支店のサービスを補助するものであり、電話や対面で売買や相談ができます。そこがネット&コールとの大きなちがいですが、そのほかに取扱商品や手数料などのサービス面のちがいもあります。
とうぜんネット&コールのほうが株式の売買手数料は安く、自分で情報収集したり決断できたりする場合は、本支店ではなくネット&コールをえらぶの良いでしょう。ちなみにどちらも口座管理料は無料です。
野村證券のネットサービスで売れている投資信託は?
野村證券では各サービスごとに、ある集計期間内の投資信託の買付金額ランキングなどを公表しています。
買付金額のほかに「騰落率」「純資産総額」「月次資金流入額」などの項目がありますが、今回はホームトレードとネット&コールそれぞれの買付金額ランキングをみてみました。
参考 : 投資信託ランキング – 買付金額 –
野村ホームトレードのランキング(2014年9月1日~25日)
1位 : アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコリラコース)
2位 : 野村米国ハイ・イールド債券投信(豪ドルコース)毎月分配型
3位 : 野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型
4位 : 新光 US-REIT オープン 愛称:ゼウス
5位 : ピクテ新興国インカム株式ファンド(毎月決算型)
上位5位まで、すべて毎月決算型のものです。本支店に口座を保有している投資家には高齢者が多いと考えられますが、分配金をお小遣いのようにもらうという感覚で毎月分配型の投信に投資しているのかもしれません。偏見でしょうか。
たまに毎月分配型ファンドを保有している高齢者の方と話をしますが、コストやリスク、リターンについては気にしておらず、ましてや特別分配金という言葉やその意味も知らない場合が非常に多いです。
長期投資を念頭におくと、どうしても信託報酬が安く買付手数料のないインデックスファンドを最優先に考えてしまうのですが、それはぼく個人の考えであり、求めるものがちがう投資家がいるのはあたり前のことですね。
ちなみに信託報酬は上から1.7608%、1.6504%、1.8964%、1.6524%、1.992%です。
野村ネット&コールのランキング(2014年9月4日~10月3日)
1位 : 野村3.5倍ブル・ベア(日本株3.5倍ブル)
2位 : 楽天USリート・トリプルエンジン(レアル)毎月分配型
3位 : 野村3.5倍ブル・ベア(マネー ポートフォリオ)
4位 : 楽天日本株トリプル・ブル
5位 : 楽天日本株トリプル・ベアⅡ
いわゆる「ブル・ベア型」「レバレッジ型」と呼ばれる投信が上位をしめています。積極的な投機をおこなう雰囲気が見てとれます。
こういった銘柄は同場の変動にあわせてひんぱんに売買されるので、資金流入ではなく買付金額でみるとどうしても他を圧倒して上位を独占してしまうということがおこります。
野村3.5倍ブル・ベアは買付手数料が1.08%かかりますが、市場平均の3.5倍も価格が変動すればじゅうぶんにまかなえる範囲の金額だと考えられているのかもしれません。
コストを考えるならネット証券がおすすめ
ぼくは野村證券に口座をもっており、ホームトレードも利用しています。野村證券のホームページでも、ログイン後のホームトレードの画面でも、ノーロード投信の検索はできません。
ファンド検索の条件のなかに、買付手数料についての項目がないから、そもそも指定ができないのです。
ネット証券のSBI証券をみてみると、検索をする前の段階で「ノーロード投信536本※」という文言が目にとびこんできます。コスト体質などのちがいはあるにせよ、差が歴然としており比較する気にもなれません。
※ 募集中のファンド・外貨建MMF・MMF・中国Fを含む(2014年10月1日現在)。
野村證券は利益をもとめるポイントを、株式の売買手数料や投信の買付手数料などのスポット型のものから、ファンドるいとう(積立)の信託報酬などのストック型のものへと変更してきているようです。
しかし以前のネット事業のたたみ方、現在の取扱い商品のラインアップなどを考えると、まだまだ魅力は感じないというのが正直な感想です。今後に期待したいですね。
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