手数料無料!カブドットコム証券の「フリーETF」のメリットとデメリット
2016/04/13
出典 : カブドットコム証券の公式サイト
ぼくは長いことSBI証券を中心に取引してきたので知らなかったのですが、主要ネット証券のひとつであるカブドットコム証券では「フリーETF」というサービスをおこなっています。
フリーETFというのは、無料で売買できるETFのこと。なんと、カブドットコム証券では13銘柄のETFの売買手数料が無料なのです。これって、すごいですよね。
参考 : カブドットコム証券の公式サイト
ETFは購入時に手数料がかかるから、毎月の積立ては非上場のノーロード投信にしているという方は多いと思います。でもカブドットコム証券を利用すれば、より信託報酬の低いETFでの積立てが可能になります。
株式クラスについては、このフリーETFの利用で国際分散投資が簡単にできてしまいますよ。
フリーETFはカブドットコム証券独自のサービス
フリーETFはカブドットコム証券独自のサービスであり、ほかの証券会社では提供されていません。
とうぜんですが、「売買手数料無料のETF」が存在するわけではなく、特定のETFの売買手数料がカブドットコム証券なら無料である、ということです。
銘柄数は現在のところ13本で、現物取引も信用取引も対応しています。TOPIX連動型、日経平均連動型、S&P500連動型など、株式クラスのETFが充実しています。
銘柄一覧
- MAXIS JPX日経インデックス400上場投信[1593]
- MAXIS トピックス・コア30上場投信[1344]
- MAXIS 日経225上場投信[1346]
- MAXIS トピックス上場投信[1348]
- MAXIS S&P東海上場投信[1553]
- MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信[1550]
- SPDR S&P500 ETF[1557]
- ABF汎アジア債券インデックス・ファンド[1349]
- 国際のETF VIX短期先物指数[1552]
- 国際のETF VIX中期先物指数[1561]
- MAXISトピックスリスクコントロール(5%)[1567]
- MAXISトピックスリスクコントロール(10%)[1574]
- MAXIS Jリート上場投信[1597]
国内株式クラス5本、外国株式クラス2本、外国債券クラス1本、国内不動産クラス1本、あとはVIXやトピックスリスクコントロールといった少し変わった投資対象のETFです。
運用会社別にみると、「MAXIS」とついているのが三菱UFJ投信で9本、国際投信投資顧問が2本、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)が2本です。
売買金額は関係なし!
カブドットコム証券のフリーETFのもっとも大きなメリットは、「いくら売買しても手数料無料」ということです。金額の大きさは関係ないので、売買金額が100万円でも1000万円でも無料の対象です。
信託報酬が低い
フリーETFは、運用管理費用(信託報酬)が低いものが多いようです。投資対象が同じであるほかのETFよりも、三菱UFJ投信の「MAXIS」シリーズは信託報酬が低いケースが多いからです。
たとえばTOPIX連動型の[1348]の信託報酬は0.078%で、大和証券投資信託委託[1305]の0.11%、野村アセットマネジメント[1306]の0.11%、日興アセットマネジメント[1308]の0.088%よりも低いです。
またJPX日経インデックス400連動型の[1593]は0.078%で、野村アセットマネジメント[1591]の0.2%、日興アセットマネジメント[1592]の0.1%、大和証券投資信託委託[1599]の0.18%よりも低いです。
もちろん信託報酬が低いETFを、それだけで優れていると決めることはできません。対象指標との乖離(かいり)なども関係してきます。
しかし、信託報酬が低いことは大きなアドバンテージです。長期投資では、わずかな保有コストの差が大きな結果の差をうむ可能性があるので、コストが低いにこしたことはありません。
※ 信託報酬はすべて税抜表示です。
なぜ無料なの?なにか裏があるの?
なぜ無料なのかの理由は、カブドットコム証券の公式サイトに明記されています。
フリーETFの場合、お客さまから手数料をいただく代わりに、当社の「様々なアセットクラスのETFを手数料無料に!」という趣旨に賛同いただいた運用会社から協賛金をいただくことにより、お客さまには手数料を無料にて提供させていただいております。
顧客からの注文を取引所に取り次ぐときに、証券会社は取引所に手数料を支払う必要があります。そこで証券会社は顧客から売買手数料を受け取り、その中から取引所に手数料の支払いをします。
しかし顧客から手数料が受け取れなければ、取引所に支払う手数料分が損失になります。
カブドットコム証券のフリーETFの取引については、各ETFの運用会社から受け取る協賛金を取引所への支払いにあてることで、顧客に対する無料サービスを提供しているということのようです。
ちなみに「三菱UFJ投信」も「国際投信投資顧問」も三菱UFJフィナンシャルグループの一員です。そのため協賛金でまかなうという方法が取れるのだと思います。
フリーETFのデメリットは?
デメリットらしいものは見あたりません。しかし、各ETFのトラッキングエラー(対象指標との乖離)には注意が必要です。
ETFは、日経平均株価など対象とする指数と連動することを目指したものであり、指標との乖離が大きい場合「運用会社の腕」をうたがう必要があります。
ETFは長期保有が前提なので、短期的にはすこしの乖離でも、長期的にとても大きな乖離になる可能性があります。そのため、たとえプラス側に乖離した場合でも、それが続くようであれば好ましくない兆候だといえます。
また「市場価格」と「基準価額」のちがいにも敏感になる必要があります。この2つの価格の乖離が大きい場合も、長期保有をするときの懸案事項になります。
参考 : ETFコラム No.3 ETFの価格 「市場価格」と「基準価額」(日興アセットマネジメント)
ただ、この2つの価格の乖離の要因は市場の作用によるところが大きく、運用会社の腕のよしあしはあまり関係ありません。
「MAXIS」シリーズの国内株式クラス4本については、インディカティブNAV・PCF情報の配信対象となっています。
つまり構成銘柄などの情報開示はきちんとおこなわれており、価格の乖離が大きくならないような施策はおこなわれていると考えて良いと思います。
トラッキングエラーや、市場価格と基準価額の乖離に気をつけるべきというのは、フリーETFにかぎらずどのETFにも言えることです。長期投資は慎重におこなうものであるということですね。
積立てによる国際分散投資に活用
国際分散投資をおこなうときに、ノーロードのインデックス投信の積立てをおこなう方は多いのではないでしょうか。
毎月の積立てには、購入手数料のかかるETFよりも、非上場のノーロード投信のほうが適しています。しかし、信託報酬はETFのほうが圧倒的に低いですよね。
そこで、残高がたまった時点で投信からETFへリレー投資をおこなう、という方法を取る場合があると思います。
フリーETFなら、そのような手間は必要ありません。購入手数料が無料なので、毎月の積立てを直接ETFでおこなうことができるのです。
債券クラスはいまのところ充実していませんが、株式クラスなら、日本株式・先進国株式をフリーETFでカバーすることができます。新興国株式は別口でおこなうとして、株式クラスの大部分が無料で積み立てられるのです。
具体的には、MAXIS トピックス上場投信[1348]と、MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信[1550]の2つで、日本と海外(先進国)の株式への投資がカバーできます。これは、かなりお得なのではないでしょうか。
参考 : カブドットコム証券の公式サイト
もしいま積立てしている商品と同じようなものがあれば、フリーETFに乗り換えることでコストを抑えることができるかもしれません。興味がある場合は、カブドットコム証券のページで詳細をたしかめてみてくださいね。
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