低コストのファンドを運用する「直販投信」会社まとめ
「直販投信」という言葉があります。これは、直販投信会社(運用会社)、もしくはその会社が運用するファンドのことを指します。
通常ファンドの売買は、銀行や証券会社などの「販売会社」を通じておこなわれます。運用会社はファンドをつくったり実質的な運用をおこなったりしますが、投資家の窓口は証券会社などです。
直販投信はそれらのファンドとは販売のかたちが違います。その名のとおり「運用会社が投資家に直接販売する」かたちをとります。そのため、販売会社があいだに入ることでかかる、「購入手数料」「運用管理費用(信託報酬)」などのコストが削減されます。
そのかわり、証券会社などの「販売力」を頼ることができないため投資家に知られにくい、システム整備がなされていないケースでは投資家が売買しにくい、というデメリットがあります。
しかし最近は目の肥えた投資家が増えてきたのか、それともインターネットの普及により販売促進やシステム整備がおこなわれやすくなったのか、直販投信は投資家にとってかなり身近な存在になってきました。
売買に関するデメリットがなくなれば、販売会社に支払われるコストが小さい分、ぼくたち個人の資産運用に役立つ金融商品になります。
というわけで、現在確認できる直販投信会社とそのファンドをまとめました。8つの直販投信会社と、それらの会社が運用する13本のファンドです。
まだ直販投信を知らない、もしくは低コストで低額から積立てができるファンドを探しているという場合は、ぜひ参考にしてください。
※ 純資産総額はすべて、2014年10月31日現在の情報です。また購入手数料、換金手数料はすべて無料です。
さわかみ投信
さわかみ投信は、この記事にあげている直販投信会社のなかで最も古く、そして有名な会社です。1999年8月に「さわかみファンド」が設定され、そのときの設定額は16億2800万円でした。
2014年10月末の純資産総額は2976億円と、設定時に182倍になっています。これだけ大きな金額を運用している直販投信は、ほかにないのではないでしょうか。公式サイトによれば、同社の経営理念は以下のとおりです。
- 本格的な長期投資で世の中をおもしろくしていこう
- 一般生活者の財産づくりを長期運用でお手伝いさせていただく「さわかみファンド」を、運用実績と顧客からの信頼で世界一にしていこう
- お金は天下のまわりものである。長期投資で得たリターンは、広く世の中にお返ししていこう
さわかみファンド
- ファンドの概要
- 経済の大きな動きを先取りするために、その時点でもっとも割安と考えられる投資対象に集中投資。価値と市場価格との乖離(かいり)が解消されるまで長期投資をおこなう。
- 信託報酬
- 1.08%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 297,673百万円
- 設定額
- 1,628百万円
- 設定日
- 1999年8月24日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ○
- 公式サイト
- さわかみ投信株式会社
ありがとう投信
2004年に設立された、税理士・公認会計士による運用会社です。上記のさわかみファンドを含む9本のファンドを組み入れるファンド・オブ・ファンズ「ありがとうファンド」を運用しています。
ありがとうファンド
- ファンドの概要
- 景気サイクルの大きな動きを先取りするかたちで資産配分をおこない、景気の変動サイクルに沿ったアセットアロケーションの切り替えをおこなう。長期的な資産の成長を目指す。
- 信託報酬
- 1.7%±0.25%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 10,895百万円
- 設定額
- 161百万円
- 設定日
- 2004年9月1日
- 最低購入金額
- スポット : 1,000円/積立 : 1,000円
- NISA
- ×
- 公式サイト
- ありがとう投信株式会社
セゾン投信
長期の資産形成向けの2本のファンド運用する投信会社です。クレディセゾンの100%子会社でしたが、最近、日本郵便との資本・業務提携を発表しました。今後は郵便局でのPRがおこなわれるかもしれません。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは世界中の株式と債券に分散投資できる低コストのインデックスファンドで、長期の資産形成に適しています。以前、以下の記事で詳細を紹介しています。
参考 : セゾン投信の評価と評判 ほったらかし国際分散投資の魅力
2本のファンドの純資産総額の合計が1000億円を突破。日本郵便との提携でさらに発展していく可能性がありますが、このような低コストのファンドが広まるのは嬉しいですね。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
- ファンドの概要
- 世界30ヶ国以上の株式と、10ヶ国以上の債券に投資。インデックス運用のパイオニアであるバンガードのインデックスファンドを組入れ、低コストで運用されるファンド・オブ・ファンズ。
- 信託報酬
- 0.74%±0.03%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.10%
- 純資産総額
- 82,025百万円
- 設定額
- 646百万円
- 設定日
- 2007年3月15日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 5,000円
- NISA
- ○
- 公式サイト
- セゾン投信株式会社
セゾン資産形成の達人ファンド
- ファンドの概要
- 収益力のある企業に投資するファンド・オブ・ファンズ。日本・アメリカ・ヨーロッパ・新興国などに幅広く分散投資してリスクを抑えつつ運用。R&Iファンド大賞2014最優秀ファンド賞を受賞。
- 信託報酬
- 1.35%±0.2%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.10%
- 純資産総額
- 16,911百万円
- 設定額
- 254百万円
- 設定日
- 2007年3月15日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 5,000円
- NISA
- ○
クローバー・アセットマネジメント
スイスのジュネーブでグループ企業の資金運用をしていたという経歴を持つ方が代表をつとめる投信会社。「時間投資」「空間投資」という概念で、長期に安心して保有できるファンドを目指しています。
コドモファンド
- ファンドの概要
- 直販投信のファンド「コモンズ30ファンド」「さわかみファンド」「ひふみ投信」などを組み入れるファンド・オブ・ファンズ。長期的な視点で世界を俯瞰し、幅広く分散投資する。
- 信託報酬
- 1.7%±0.25%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 3,293百万円
- 設定額
- 11百万円
- 設定日
- 2013年4月15日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ×
- 公式サイト
- クローバー・アセットマネジメント株式会社
浪速おふくろファンド
- ファンドの概要
- 「一般家庭の時間をかけた財産作り」の手伝いをするために、資産の長期的な成長を目指すというフレコミのファンド・オブ・ファンズ。世界中の株式へ投資するが、相場の加熱時には現金の割合を高める。
- 信託報酬
- 1.65%±0.25%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 808百万円
- 設定額
- 70百万円
- 設定日
- 2008年4月8日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ×
らくちんファンド
- ファンドの概要
- 長期的に安定した運用がおこなわれており、将来にわたってもその運用が継続される見込みのあるファンドを組み入れるファンド・オブ・ファンズ。世界中の株式へ分散投資し、日本株と海外株の比率は50%ずつが目標。
- 信託報酬
- 1.6%±0.3%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.10%
- 純資産総額
- 662百万円
- 設定額
- 92百万円
- 設定日
- 2008年4月24日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ×
かいたくファンド
- ファンドの概要
- 日本だけでなく、成長を続ける世界へ分散投資をおこなうファンド・オブ・ファンズ。国・地域・産業、そして時間など幅広く分散。マーケット環境によっては積極的にキャッシュ比率を引き上げる。
- 信託報酬
- 1.6%±0.2%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.20%
- 純資産総額
- 554百万円
- 設定額
- 72百万円
- 設定日
- 2008年4月22日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ×
レオス・キャピタルワークス
運用業界のプロたちが集まってつくられた投信会社です。運用するファンド「ひふみ投信」はR&Iファンド大賞を2014年まで3年連続受賞。
社会に対して付加価値をつくりだす企業へのアクティブ投資を運用哲学としており、企業価値と市場価格とのギャップにこだわった運用をおこなっています。
ファミリーファンド方式により運用がおこなわれており、販売会社経由の「ひふみプラス」もあるので注意。直販投信は以下で紹介している「ひふみ投信」のみです。
ひふみ投信
- ファンドの概要
- 国内外の株式が主要対象。市場価値が割安な銘柄を選別して長期投資をおこなう。株式以外の割合を50%まで高められる仕組みにしており、マーケットに柔軟に対応するアクティブ運用。
- 信託報酬
- 1.0584%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 15,409百万円
- 設定額
- 150百万円
- 設定日
- 2008年10月1日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ○
- 公式サイト
- レオス・キャピタルワークス株式会社
ユニオン投信
「労働組合がつくった、はたらく仲間と家族のための投資信託」というフレコミの投信会社です。長期投資を通じて、明るい未来や社会をつくっていこうという姿勢が根底にあります。
ユニオンファンド
- ファンドの概要
- 株式に特化。グローバル分散投資をおこなうファンド・オブ・ファンズ。相対的パフォーマンスが良好なファンド厳選してアクティブ運用をおこなう。割高時には現金比率を高める。
- 信託報酬
- 1.9%±0.3%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 2,980百万円
- 設定額
- 108百万円
- 設定日
- 2008年10月20日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ×
- 公式サイト
- ユニオン投信株式会社
コモンズ投信
未来を見据えた投資家が、長期投資によって最良な企業と出合う場を提供することで、持続的な価値創造ができるというビジョンを持って運営される投信会社です。
30社程度の優良企業に投資する「コモンズ30ファンド」、未来に向けて変化している割安な銘柄50社程度に投資する「ザ・2020ビジョン」の2本のファンドを運用しています。
コモンズ30ファンド
- ファンドの概要
- 成長性や収益性、競争力・ブランド、経営陣、文化・理念などの基準で選定した30社程度の銘柄へ投資するアクティブファンド。「世代を越えて持続的な価値創造ができる企業」に注目。
- 信託報酬
- 1.2420%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 5,111百万円
- 設定額
- 118百万円
- 設定日
- 2009年1月19日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 3,000円
- NISA
- ○
- 公式サイト
- コモンズ投信株式会社
ザ・2020ビジョン
- ファンドの概要
- マネジメントや収益力、外部環境などの変化に着目して銘柄を選定するアクティブファンド。大型株から小型株まで50社程度に分散投資。市場の動きにあわせて株式や現金等の割合を調整する。
- 信託報酬
- 1.2420%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 1,646百万円
- 設定額
- 338百万円
- 設定日
- 2013年12月27日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 3,000円
- NISA
- ○
鎌倉投信
公式サイトによると「100年個人投資家に支持される長寿投信を目指し、300年社会に貢献する企業を支援し、1000年続く持続的な社会を育みます」という壮大な理念で運営される投信会社です。
結い2101
- ファンドの概要
- 国内企業中心に「これからの日本に必要とされる企業に資金を投じる」という基本理念にもとづく投資をおこなうアクティブファンド。社会と調和の上に発展する企業の株式に分散投資。
- 信託報酬
- 1.08%/年(税込)
- 信託財産留保額
- 0.00%
- 純資産総額
- 11,504百万円
- 設定額
- 307百万円
- 設定日
- 2010年3月29日
- 最低購入金額
- スポット : 10,000円/積立 : 10,000円
- NISA
- ○
- 公式サイト
- 鎌倉投信株式会社
直販投信.jp
直販投信会社の代表などが、リレーブログなどによる情報提供をおこなっているのが、以下の「直販投信.jp」というサイトです。
参考 : 直販投信.jp
各社の個別のサイトを見るのが情報取得にあたりもっとも良い方法だと思いますが、一覧性に欠けます。どのような運用会社があるのか、代表はどのような人格を有しているのかなどをてっとり早く確認したい場合にオススメです。
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