イオンによるウエルシアホールディングスに対する公開買付(TOB)情報まとめ
2014/10/30
イオン株式会社(8267)による「ウエルシアホールディングス株式会社(3141)」に対する公開買付(TOB)が発表されました。これによりウエルアシHDは、イオンの持分法適用関連会社から連結子会社になります。
参考 : ウエルシアホールディングス株式会社(証券コード3141)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ
イオンは今後、ウエルシアHDを中核子会社として、CFSコーポレーション(8229)、非上場のタキヤ、シミズ薬品などの連結子会社3社を統合する予定とのこと。すでにウエルシアHDと非上場の2社とのあいだで株式交換の契約が締結されています。
4社の売上高の単純合計は5000億円を超えて、4953億円のマツモトキヨシホールディングス(3088)を抜いて業界トップになります。
今年4月にすでに業務・資本提携をより深くすることを発表しており、その際に統合に向けた協議を開始するとしていましたが、ウエルシアHDが9月1日付で子会社3社を統合完了したことから今回のTOB実施という流れになりました。
なお買付予定数の上限が定められており、ウエルシアHDの上場は維持される予定。8月末基準の配当金も、直近の予想どおり1株あたり32円50銭で実施されるとのことです。
公開買付(TOB)の詳細
今回のイオンによるウエルシアホールディングス株の公開買付について、期間・価格・株数などの詳細は以下のとおりです。
- 期間
- 2014年10月23日(木)から11月20日(木)まで
- 価格
- 普通株式 : 4,000円
- 株数
- 予定数 : 5,606,000株/下限 : なし/上限 : 5,606,000株
- 代金
- 224億2400万円
- 決済日
- 11月27日(木)
- 代理人
- SMBC日興証券
今回のTOBにより、イオンの保有する株数は最大で2206万8262株、割合は50.10%になります。上限を超えた分はその全部もしくは一部の買付はおこなわれず、その場合はあん分比例方式によって買付されるとのこと。
公開買付代理人はSMBC日興証券なので、TOBに応募する場合はSMBC日興証券の口座への株式移管手続きが必要です。未開設の場合はまず口座開設をして、そのあとに現在保有している証券会社からの移管をすることになります。
参考 : 公開買付(TOB)の応募方法を解説 | 他社移管と信託銀行からの振替え
ただ、今回のケースはすでに37.37%を保有していること、大株主などの保有分で応募意向が確認できている割合が8.01%あること、そして上限が設定されていることから、応募株数によっては成立しないこともあり得ます。
そのためなのか、TOB発表の前営業日21日の終値3,385円に対するプレミアムは18.17%でしたが、株価は発表の翌営業日23日に高値3,750円をつけたあとはやや下げて推移しています。
上場は維持される予定なので、移管やTOB応募、また市場売却はかならずしも必要ではないですが、ホールドを含めた投資判断は各自おこないましょう。
TOBの目的と背景
競争が激しく業界再編の動きが動きがでていたドラッグストア業界ですが、今回のTOBによって経営資源の集中や人材交流などをとおして、発展をより加速させることが狙いのようです。
今回のTOBに先立って、ウエルシアHDは子会社を統合していました。9月1日におこなわれた統合の内容は以下のとおりです。
- ウエルシアホールディングスを完全親会社、ウエルシア関東を完全子会社とする株式交換
- ウエルシア関東を存続会社として、高田薬局、ウエルシア関西、ウエルシア京都の3社を消滅会社とする吸収合併
- 合併後の新会社を「ウエルシア薬局」に名称変更
持ち株会社のウエルシアHDを親会社、そして実質的な経営をおこなう子会社ウエルシア薬局の設立をおこない、満を持して今回のTOBに着手したということのようです。
今後、ウエルシアHDを中核的な存在として、CFSコーポレーション、タキヤ、シミズ薬品が統合される予定です。CFSとは2015年9月をめどに株式交換するように協議を進めており、すでにほかの2社とは2015年3月付で株式交換することを決めています。
ウエルシアHD株に対するTOBのまとめ
公開買付価格はプレミアムおよそ18%の4,000円ということでしたが、買付予定数の上限があったこともあり、株価はそれほど上げませんでした。
今後は東証1部上場のCFSコーポレーションなどと統合する予定で、売上高の単純合計は5000億円超となり、業界トップになります。
ドラッグストア事業をグループの成長事業のひとつとして取り組み、グループ内のスーパーでの薬の取扱いをおこなうなどして、シナジー効果をだすことも考えているとのこと。
高齢化が進んだり健康意識が高まったりするという前提で、業界トップの地位を早めに確立しておくことも狙いのひとつにあるようです。はたして今後も予想どおりの成長ができるのか。株主にとっては期待が高まるところですね。
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