個人向け国債とは?金利やリスクと中途換金について
2014/10/10
個人向け国債とは、国が発行する「債券」の中で、さらに投資家を「個人」に限定した金融商品です。
債券とは、国や企業などがお金を借りるために発行する証券(借用証書※)です。債券を買うと、将来の何月何日にお金が戻ってくるということ(償還期限)、保有しているあいだは利子が受け取れるということなどが約束されます。
債券は地方自治体や企業なども発行しますが、国が発行するものを「国債」といいます。その中で、個人投資家だけが投資することができるのが「個人向け国債」です。
※ 借用証書といっても、電子化(ペーパーレス化)されているため券面は発行されません。偽造や盗難、紛失のおそれがなく安心です。
特徴とメリット・デメリット(リスク)
個人向け国債には以下のような特徴があります。
- 日本国政府が発行するから安全性が高い
- 1万円から1万円単位で手軽に購入できる
- 半年ごとに利子が受け取れる
- 満期前の中途換金ができる
- 固定3年、固定5年、変動10年の3つから選べる
- 毎月発行されている
メリットとして「国が発行するから安全性が高い」「銀行や証券会社で1万円から購入できる」「発行から1年たてば中途換金できる」などがります。
デメリット(リスク)として「国の経済状によっては利子や償還金が支払われない可能性がある」「1年経過するまでは中途換金できない」「中途換金時に1年分の利子相当額を支払う必要がある」などがあります。
債券は基本的に、償還時に投資したお金が戻ってくること、保有中に利子が受け取れることを約束したものですが、発行体(国債なら日本国政府)の信用状況の悪化によってそれらが守られないこともあります。
しかし、日本国政府がダメになるときには、国内のほかの金融商品(たとえば銀行預金)もダメになっているはずです。つまり、個人向け国債は円建て商品としてはとても安全性の高い金融商品といえます。
3つの種類
個人向け国債には3つのタイプがあります。どの種類でも、半年ごとに利子が支払われること、金利の下限が0.05%であること、中途換金できることは同じです。
変動10年(変動金利型10年満期)
半年ごとに適用利率が変わる、10年満期の個人向け国債です。実勢金利にあわせて金利が変動するので、インフレに対応できます。金利は「基準金利×0.66※」で決まります。
固定5年(固定金利型5年満期)
発行時に設定された金利が償還まで変わらない、5年固定の個人向け国債です。金利は「基準金利-0.05%」で決まります。
固定3年(固定金利型3年満期)
発行時に設定された金利が償還まで変わらない、3年固定の個人向け国債です。金利は「基準金利-0.03%」で決まります。
※ 2011年4月発行分までは「基準金利-0.80%」です。
中途換金について
個人向け国債の大きな特徴のひとつとして「中途換金ができる」ということがあります。
債券は通常、発行時は額面100円のものも、満期までに102円になったり99円になったりと価格が変動します。そのため、売却するときの価格によって利益がでたり損失がでたりします。
しかし個人向け国債は、発行から1年が経過していればいつでも「中途換金」することができます。そのとき価格の変動はなく、額面100円あたり100円で換金できるのです。
ただその際には「中途換金調整額」が差し引かれます。これは直近2回分(1年分)の税引前の利子相当額です。
換金金額 = 「額面金額」+「経過利子相当額」-「中途換金調整額」
たとえば購入して1年後すぐに中途換金すると、それまで受け取った利子分がそのまま額面金額から差し引かれるので、投資額がそのまま返ってくることになります。
もし直前の利払日から日数がたっていれば、その分の「経過利子」は受け取ることができます。たとえば発行から1年5ヶ月がたっていれば、額面金額と5ヶ月分の経過利子が受け取れることになります。
似ている金融商品
個人向け国債と似ている金融商品には「定期預金」「新窓販国債」があります。
新窓販国債(しんまどはんこくさい)とは、5万円から5万円単位で購入できる国債で、種類は2年固定、5年固定、10年固定の3タイプです。個人向け国債のような、国の買取りによる中途換金はできませんが、市場での売却はできます。
そのため価格変動リスクがありますが、金利は個人向け国債よりもやや高めです。売却時には手数料がかかるので、基本的には満期まで保有することを前提に購入するのが良いでしょう。
定期預金は一般的に個人向け国債よりも金利が低いです。しかし、定期預金の中途解約時のペナルティと、個人向け国債の中途換金調整額をくらべたときに、固定金利型の個人向け国債より有利な定期預金もあるかもしれません。
購入できる証券会社
対面証券、ネット証券ともに主要証券で取扱いがあります。対面証券では野村證券、大和証券、SMBC日興証券など、ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券などが有名です。
また銀行や郵便局でも購入できます。しかし、ひんぱんに現金プレゼントのキャンペーンをおこなっている証券会社のほうがお得です。
どんなときに投資するべきか
個人向け国債は、円建て商品の中ではとても安全性が高く、定期的なインカムゲイン(利子)が期待できます。
資産運用をするときには、株や投信、外貨建て商品のほか、手元に流動性資産(現金や預金など)を残しておくのが一般的です。
その流動性資産にも、相場の急落時に追加投資したり、プライベートの事情で支払いが必要な時につかったりするための短期資金と、それ以外に長期目線で残しておく長期資金があります。
個人向け国債には、その長期資金をまわすのが良いと思います。発行から1年間は原則として中途換金ができませんし、その後でも中途換金調整額がかかってしまいます。
ポートフォリオの中で、円建て商品としてリスクを小さくするための役どころをになう存在として、個人向け国債はオススメです。投資する際は、なるべく手をつける予定がない資金をあてましょう。
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