配当金が非課税にならない!?NISA口座の落とし穴
2014/10/10
少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)がはじまって、はや半年以上がすぎました。先日発表された金融庁のデータによると、6月末時点のNISAの口座数は727万、買付総額は1兆5631億円とのことです。
株式や投信の売却益・配当金や分配金にかかる税率が10%に低減されていた証券優遇税制がおわり、多数の投資家から不満の声もきかれましたが、NISAはそれなりに元気にやっているようです。
ところで、いまや常識となりつつあるようですが、NISAで買った株の配当金に関する「ある落とし穴」をまだ知らない人もいるかと思います。
もしかしたらあなたも知らないかもしれない、NISAと配当金に関するある落とし穴とはいったい何なのか。それを説明します。
NISAで買った株の配当金が非課税にならない!?
その落とし穴とは「NISAで買った株の配当金が非課税にならない」ケースがあるということです。
NISAは売却益と配当金・分配金が非課税になる制度なのに、なぜ配当金が非課税にならないのか。それは、4種類もある、株の配当金の受取方法に関係があります。
配当金の受取方法は4つ
株の配当金の受取方法には4種類あります。具体的には「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」「配当金領収証方式」「個別銘柄指定方式」の4つです。
株式数比例配分方式とは、株をあずけている証券会社の口座で、その銘柄の配当金を受け取るという方法。以下はそれぞれ、ひとつの銀行口座で受け取る方法、領収証をゆうちょ銀行で換金する方法、銘柄ごとに受取金融機関を指定する方法です。
NISAで買った株の配当金を非課税で受け取るためには、この中の「株式数比例配分方式」をえらぶ必要があります。それ以外の3つの方法で受け取った場合、通常どおり課税されてしまいます。
なぜなのだろう、と疑問がでてくるところですが、制度でそのように決まっています。
配当金を非課税で受け取るためには
証券口座をひらいた最初の段階では、配当金の受取方法は「配当金領収証方式」が初期設定されています。つまり、みずから株式数比例配分方式への変更をおこなわないと「NISA株」の配当金を非課税で受け取れません。
まずは、自分がNISA口座をひらいている証券会社の口座状況をしらべて、配当金の受取方法がどのようになっているのか確認しましょう。
もし株式数比例配分方式以外の受取方法になっていた場合は、対面証券なら電話で問い合わせる、ネット証券ならログイン後の画面で変更するなど、それぞれの方法で変更しましょう。
各証券会社での手続き方法
対面証券2社、ネット証券2社の受取方法変更の案内ページを紹介しておきます。ここに記載のない証券会社の場合もほとんど手続き方法は同じだと思いますが、不安な場合は早めに問い合わせてください。
株式数比例配分方式についての留意点
株式数比例配分方式への変更について、以下のような留意点があります。きちんと認識したうえで申込みをしましょう。
- 一部の銘柄のみを指定することはできず、変更した場合、保有しているすべての銘柄が株式数比例配分方式になる
- 決算の基準日時点で変更されている必要がある
- NISA口座ではない課税口座(特定口座や一般口座)で買った株の配当金は、非課税にならない
- 投信の分配金は関係ない(NISA口座なら受取方法にかかわらず非課税)
- 信託銀行に株を保有している場合など、株式数比例配分方式を申込みできないケースがある
2014年9月決算の権利付き最終日
配当金を受け取る権利を得るには、つまり株主としての権利を得るには、ある決まった日に株をもっている必要があります。それを「権利確定日」といいます。
決算月というのは企業ごとにちがいますが、市場でその株が売買されている企業では、3月・9月決算のものがいちばん多いです。
9月末決算の銘柄の場合、2014年の権利確定日は30日(火)です。株の売買の受渡しには4営業日かかるので、実際には25日(木)が「権利付き最終売買日」であり、この日に株をもっていないと配当金の権利がつきません。
翌26日(金)は「権利落ち日」といって、この日に株を売ってしまっても配当金を受け取る権利はなくなりませんので、問題ありません。つまり、極論としては25日(木)の1日だけの保有で権利がつくということです。
すこしややこしい制度内容ですが、NISA株の配当金を受け取るためには、権利確定日までにNISA口座で株を買い、配当金の受取方法は株式数比例配分方式をえらんでおく、ということをおぼえておきましょう。
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