投資成績への影響大!タイミング投資の売り時と買い時
以前、セゾン投信と日本郵便の資本提携について書きましたが、そのセゾン投信の中野晴啓社長の新しい著書「30代でも定年後でも、ほったらかしで3000万円!投資信託はこうして買いなさい」を本日購入しました。
まだあまり読んでいないのですが、いつものようにツマミ食い的な読み方をしていたら、なつかしい統計がでてきました。インデックス投資家に好まれる「敗者のゲーム」からの引用です。
参考 : セゾン投信と日本郵便の資本提携でファンドのコストは上がる?
積立投資は多くの個人投資家にとって有効
「敗者のゲーム」を引用しつつ、セゾン投信の中野社長は以下のように記述しています。
過去28年間におけるS&P500のリターンは、複利で年11%になります。(中略)このうち、デイリーベースで最も高い値上がりをした10日間を外して年平均リターンを計算すると、何と年8%に落ちてしまいます。
さらに、最高の値上がりをした30日を外すと、年平均リターンは6%未満になってしまうのです。(中略)1万227日のうちの10日間ということは、この10日間をとらえられる確率は0.1%にも満たないということです。
つまり、一番値上がりしたとき、それにきちっと乗れる確率というのは、実は非常に低いのです。でも、それに乗れないと、リターンは大幅に落ちてしまいます。(中略)タイミング投資で成功する確率はきわめて低いと言わざるを得ません。
出典 : 「30代でも定年後でも、ほったらかしで3000万円!投資信託はこうして買いなさい」第1章 p56-57
有名な統計です。実はぼくは敗者のゲームを読んでいないのですが、インデックス投資家の方々のブログを読んでいるとたまにでてくることがあり、ぼんやり覚えていました。
中野さんの本ではこの統計データをもちいて、資産形成のためには積立投資と長期投資が不可欠であり、いつおとずれるかわからない相場の上昇局面をとらえられるように、日ごろから積立をおこなっておくことが肝要であるとしています。
実際に上昇局面をとらえるのはプロの投資家でもむずかしいことだし、ましてや大幅な下落局面を回避することもむずかしいと思います。
ぼくはドルコスト平均法については理論的に優れているものではないと思いますが、積立投資は有効だと思います。
というよりも、毎月給料を手にする一般的な社会人の場合、消去法で考えると積立投資がほかの方法よりも実践しやすく、確実だからです。
2013年の日経平均で計算してみた
上記の統計データがしめすように、上昇局面には短期間で大きな値動きをすることがあり、また逆もしかりです。
実際に2013年の日経平均の数値でためしてみました。28年間と1年間とではデータの有用性はくらべものにならないし、統計的に意味のあるデータにはならないと思いますが、興味がわいたので遊び半分で計算。
2013年は記録的な上昇率を記録
2013年の日経平均は5,896.13円値上がりし、その上昇率は56.72%でした。これは記録的な上昇率で、戦後4番目の数値だったとのこと。アベノミクスに期待するヘッジファンドの仕掛けが要因として大きかったようです。
上昇局面をとらえられないと上昇率は33.02%
最も値上がりした日は6月10日で、上げ幅は636.67円。2番目が486.2円、3番目が463.77円とつづきます。最も値下がりした日は5月23日で、下げ幅は1,143.28円。2番目が843.94円、3番目が737.43円とつづきます。
最高の値上がりをした1日だけを除いた場合、3日間をのぞいた場合、5日間を除いた場合と、反対に値下がりした日を除いた場合も同じように計算した結果、以下のようになりました。
最も値上がりした日を除くと上昇率は50.60%となり、6ポイントほど低くなります。3日を除くと41.46%、5日を除くと33.02%でなんと23.7ポイントも低くなります。
反対に値下がりした日を除いた場合、1日だと67.72%で11ポイントの上昇、3日だと82.93%で26.21ポイントの上昇、5日だと93.46%で36.74ポイントの上昇です。
365日のうちの5日は1.37%にあたるので、さすがにそれだけ除いたらパフォーマンスが変わるのは当然かもしれません(笑)。それにしても、値下がりした日を除いたときのインパクトはとても大きいですね。
タイミング投資はハイリスク・ハイリターン
上記のとおり1年間のうちに1日、もしくは3日だけでも最高に値上がりする日、もしくは値下がりする日をとらえられれば、投資成績はバツグンに良くなります。
でもそんなことは不可能に近いですよね。仮にそれを狙ってやった場合、ハズしたときの損失は大きいですが、当てたときの利益も非常に大きいです。つまりハイリスク・ハイリターン。
当然の結果を提示しただけになりましたが、2013年のようにボラティリティの高い期間にこそ、タイミング投資はその威力を発揮します。
相場が荒れるときには、利益を大きくあげられるチャンスもあるということ。タイミング投資をおこなう投資家にとっては、2013年のような相場がつづくことが幸せなことなのかなと思います。
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